それからどうするPart60

それからどうするPart61

それからどうするPart62

Part17-25
Part55-Part59
日本の近辺には物騒な国が多いいが、台湾とは昔から
友好関係にある。
民主進歩党の蔡英文主席とは安全保障面で連携を
強化している。
その主席から密かに特使やってきた。
「日本は関係ない、知らない,何のこっちゃ」ととぼけるが
明らかに不思議な力持つに至っている。その力を貸して
くれと言うのだ。「主席を支持する国民は皆、独立したがって
いるという。良好なパートナーとしてその手助けをして
ほしい」 
「だが現状は台湾の対岸には中国人民軍の
第二砲兵隊によるミサイル発射基地が睨みをきかせて
何かというと脅しをかけてきます」
さらに、このミサイルは日本も射程内だという。
「だからこれを何とかしてほしいのです」
「少し時間をください」と首相は言って我々に連絡してきた。
「…と言うんだよね、どうかね?」最近自信を持ったのか
首相の態度は尊大になっている。
「やってあげてもいいけど・・・」と私は少し焦らしてやった。
某月某日中国東岸は何の前触れもなく東西50キロに
わたり海面以下に崩れ落ちた。当然ミサイル基地も
海の底である。おまけにそれによる津波は都市を
水浸しにした。残ったのはすっぽり切り取られた
海岸線である。偵察衛星からの映像を台湾に首相は
送ってやった。「やはり日本は頼りになる偉大な国です」
と感謝され首相は「何でもありません。これからも
貴国とは仲良くやりましょう」と大きな顔をだらしなく
緩ませた。
そして台湾は独立を宣言したのだ。
習主席はかんかんになって怒りまくっている。
しかし元をと言えば中国の覇権主義が招いたことである。
国営放送で台湾の独立は断固認めないと連日放送
しているが後の祭り感がある。
東部沿岸は切り取られ、その水深はなんと1kほどに
なっている。これを修復するのは不可能だ。
海軍は壊滅状態で建造中の中国初の空母もやられて
しまった。「くそー、小日本め。これまでへいこらしていたから
上手く利用してやったが、ここに来て何で大胆になったのだ」
「主席、わが人民陸軍は出動を待っています」
「兵を運ぶ船が無ければ台湾おろか沖縄にどうやって
侵入するのだ」全く阿保な部下ばかりで情けない。
「主席、ご心配なく。まだ我々には優秀な空軍がありますし、
東風も健在です」
「あれはICBMだぞ、長距離ミサイルだ」
「なんとか中距離に変更しましょう。それに移動式ミサイルは
かなり残っています。それで一脅しすればすぐに屈服する
はずです」
「君たち威勢のいいことを言ってるが、奴らの力を見ただろう」
「我々が少しでもその素振りを見せればどんな事をするか
わからんのだ。わしはどうしたらいいのだ、無能な将軍たちと
面子を潰されたとデモをする国民たち。すでに地方部では
反乱の気配さえある。だからこれ以上馬鹿なことはいうな!」
「あんな化け物たちを相手に出来ないのだ!」
その化け物達?はどうしているのだろう。
各地の水分解施設が稼働したのであの発電シートは売れなく
なったから暇なのだ。台地の隅のベンチに座って欠伸を
している。台地ではAI搭載の耕運機が勝手に荒地を耕している。
「楽だな」  「する事がない」 「Aは気を利かせ過ぎだ」
「俺たちを怠け者と思ってるんだろ」
「おいA、これからどうするんだ? 彼らをこのままにするのか」
大暴れした後の虚脱感を感じている私は尋ねた。
「君たちのお陰でここしばらく世界は落ち着くだろう。だから
君たちは自由にやればいい」
「なんだ、悪戯にもう飽きたのか?」
「うーん、前の世界でも途中で干渉を止めたんだ」
「その世界でも滅茶苦茶したんだな!」
「そこでは具合の悪い年寄を全部ピンピンにしてやった」
「だから年寄りが中心に社会が成り立っている」
「それはイカンよ」私は大きな声を出してしまった。
「何故だい?」 
「人間の寿命は短いが、それが大切なんだ」
「少々暮らしを良くしたって人間の本質は変わり様がないんだ」
「なにせ人間だからね。そしてその業が生き甲斐を生み出しているんだ」
わたしは修行の旅を再開した。
目的地は決まっていない。ただ心の叫びを聞き
導かれるままに歩き、今でいうパワースポットで修行する
だけである。
苛烈な砂漠も私は一向に苦にならない。
砂塵の彼方から現れた私をある部落では生き神様と
祀ってくれた。イグアスの滝での滝修行では危うく
溺れそうになったが、私は満足している。
「他の連中はどうしているかって?」
「そりゃあなた、あそこでじっとしていられる連中じゃ
ありませんよ」
「ホームレスに戻ったんだ。 いーんだとあの暮らしが」
「それに気が向けばあの村に帰って農作業をするらしい」
「贅沢だよな、心のままに自分の好きな生き方が
できるんだ」
「Aはどうしてるかって?」
「フッといなくなったんだ」
「何者だったんだろう?悪戯好きな奴だったけど嫌いでは
なかったな。また他の世界を大混乱させているかもな」


= 完 =



ご愛読いただきまして有難うございました。
「それからどうする」はこれで完了でございます。
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