今年も残り半月となりました。
俗事にひかれて何となく齢を重ねてしまったなという
感じがします。
はて、是で良かったのか、惆恨年七十・・・と内観、
瞑想を続けた結果、吾輩は一念発起したのであります。

さあこの爺さんが何を思いついたのか・・・。
次回をお楽しみに!

それからどうするPart1

それからどうするPart2

何を思いついたか、悟ったか、それとも俗事から逃避するためか、
彼は88か所を巡る遍路の旅を始めたのだ。、
人間は考える葦、いや足である・・・どこかで聞いたような言葉や
思いついた言葉をぶつぶつ言いながらひたすら歩く。
どうやら雑念を捨てるどころか呼び込んでいるようだ。
目的は何か・・・? 筆者にも想像できない遠大な計画がありそうだ。

それでは次回をお楽しみに。

それからどうするPart3

八十八ヶ所の行脚を終え大人しくするかと思えば
更に深山に籠り激しい修行を始めたのであった。
更に、更に身も氷りつきそうな滝行を続ける。
すべてを学びすべてを忘れる。
岩をも打ち砕く落下する水のパワーを流れるように
包み込むのだ。
不満か、欲望か、何がここまで老人を駆り立てるのか。

そして新たな物語は続く。

それからどうするPart4

山にこもり荒行を終えた彼はさらなる高みを目指し
インドに渡ったのである。ヨガ行者に教えを乞い、
ヒマラヤ山脈の麓で修行を始めた。
山から吹きよせる風は冷たいが彼の意志を砕くことはない。
そして、ひたすら無の音を聴く。
極意は内にあり!古くからの心の技を学び、
独自の心境を開拓するのだ。
人間の一念は恐ろしいものである。
どうやら無念無想というより、別の悟りを得たようである。
耳をすますと金、金、ゼニ、ゼニと呟いているのが分かる。
何がここまで彼をそうさせたか?
この物語はどこまで続くのか?

それからどうするPart5

長い時間が流れ彼は目を開いた。
ついに秘力を身につけたのだ。というより修行中の彼の頭に
そっと囁いた者がいたのだ。それは暗示力の強い呪文だった。
頭の中に住み着いたその存在は教団を設立せよという。
その言葉に従い彼は悟りきった顔をして日本に帰ってきた。
懐かしい日本を巡りつつ、ぶつぶつと呪文を唱えた。すると
何時の間にか彼の周りには多くの人が集まってきたのだ。
小規模ながら自然に教団は立ち上がっていった。
教団の教理は金を吐き出すほど孝徳が積まれ霊能力を
高めることができるかも・・・これがこの教えの摂理である。
暗示に取り憑かれた金持ちは何の躊躇もなく教団に金を
振り込んだ。更に信者がYoutubeに彼の説教を流すと
教団の口座はえらいことになった。
カーネ、カネ、カネ、ゼニ、ゼニ、マンダラ、ハイキン、
エクスペクト、パトローナム・・・・だそうである。
一度貴方も唱えてみてはどうか。

それからどうするPart6

「もういいだろう」 という言葉が突然頭に浮かんだ。
彼自身、増え続ける信者を持て余していたのである。
この先わしはどうすればいいものかと迷っていたから
すぐにその言葉に従った。
「教団の金を全て金に換金した後、とっとと逃げ出せ」
と頭の中のそいつが言うからその通りにした。
購入しておいた限界村の地にトラックで金塊を運び
大汗をかいてそれを埋めこんだ。
「しかし何だかほっとしたな・・・」 騒動を起こした
張本人は一服しながらため息をついた。
その後彼の姿を見かけたものはいない。

それからどうするPart7

しばらく姿を消していたあの爺さんの話である。
それが今、都庁前の路上生活者居座り防止迫害オブジェ
の上に立っていた。
彼にすれば尖がった石を見てヨガ修行の岩場を
思い出したにすぎない。
けっして嫌味たらしく鋭い突起物の上
で立ったり座ったりしているのではないのだ。
ボロ服を着た彼を見て寄り付かない者が殆どだ。
なかには可哀想だと思ってか小銭を恵んでくれたり、
爺さんも大変だな・・と話しかけてくる暇人もいる。
「確かにホームレスは行儀の悪いところはあるが
一般社会人のモラルを押し付けてもな〜  
ここまで迫害するのはやり過ぎだよな。 しかし痛くないのかい?」
「ありがとう、大丈夫だ、ヨガ行者3級を持ってるから」
と云うと、すげーと感心してくれた。
「なるほど、ホームレスか、面白そうだ・・・」
と彼は呟いた。

それからどうするPart8

ある夕方、ある公園ではホームレスと呼ばれる人達が
何となく集まっていた。
そこに、
「あーそこの君達、ここに来なさい」と偉そうな声がした。
「おい、変なじじいが来たぞ、シッシッ!」
「無礼者!わしを誰と心得おる」
「貧相な爺さんとしか見えんがな・・」と大笑いする。
「哀れな奴らだ。まあいい、済まんが水をくれんか」
「あそこに水飲み場があるだろう」
「ふむ、役にたたんな。せっかくいい話を持ってきて
やったのにの」
「まあこれで好きなものを買ってきなさい。パーッとやろう」
と万札を出す。
「ふーん、爺さん見かけによらず太っ腹だな」
「馬鹿者!こう見えてもヨガ行者3級取得者なるぞ」
「俺たちはホームレス1級取得者だ」とまた笑いあう。
こうしてホームレスとの付き合いが始まった。
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