それからどうするPart50

それからどうするPart51

それからどうするPart52

それからどうするPart53

Part17-25

それからどうするPart54

Part50-Part54
Part55-Part59
工場の事務所には自治会長や年寄りたちがやってくる。
そしてお茶を勝手に入れて寛いでいる。
「よく用もないのにやってくるな・・」とゴエモン達が嘆く。
「まあまあ、細かい事は気にしないで」
年寄りたちは一向に気にしない。
どうも自治会長は年寄りたちで我々に圧力をかける
つもりらしい。嫌らしいおっさんだ。
その狙いは火事で焼けた家を何とかしてほしいらしい。
「よくまあそんな図々しい事を思いつくな」
幸い発電シートの売れ行きがいいので金には余裕が
あるが。
「自治会長、このお年寄りたちは腰や肩などが痛む
と言っているが・・・」
「町へ出るのが大変だからな、皆我慢しているんじゃ」
「なんだ、そんな事か」
「病院でも建ててくれるのかい」
「そこまでやる気はないよ」 
「うちのワンちゃん、ドンキがいるだろう」
「あの犬の散歩やら面倒をみてくれれば考えてもいいよ」
「やる、やる!」

ドラキュラが帰って来た。あの青白い顔色が
血色の良い吸血鬼に変わっている。
「どうだったんだ」
「いやー、アメリカまで飛んで良かった。大統領と
側近の血をいただいたから腹いっぱいだよ」
「それは良かったな」
「だから当分ゆっくり休みたいから、すまないが
棺を用意してくれないか」
「よーしAmazonにでも頼んで取り寄せよう」
えらい流通時代である。すぐに特製の棺が届いた。
部屋に運んでやるとドラキュラは中に入ってしまった。
眠りこんでしまったらしい。
次に帰って来たのはあの貧乏神?であった。
しかし、姿が一変している。ボロボロの服が
道服の様なものに変わっている。
顔は貧相な顔がパンパンに膨れ上がり手に小槌の
ような物まで持っている。
「お前貧乏神だろう・・どうしたんだその恰好は?」
「話の前にお茶でも頂こうか」
「おっ、急に大きな態度だな」
「そうさ、頼まれたことは完璧にやっといたよ」
「ふむふむ」
「恨国の大部分の地域に大雨を降らせたんだ」
「止むことのない大雨で洪水が起きてあの何とか像も
泥の中に埋まってしまった」
「それに湿気が100%近いから全企業が止まっているし
キムチ用の白菜もカビが繁殖し全滅だ。」
「ほう、ほう」
「大雨の原因が何か判らないから国民は半狂乱に
なっているよ」
「全国がぬかるみ状態だからデモもやれないし、
当分立ち直れないだろう」
「よくやってくれたな。ご苦労さん」
「それでね、そこまでやったらわしの姿が福の神に
戻り始めたんだよ」
「それで嬉しくなって戻ってきたのか」
「そうそう」
「そのままあの国に居座っても構わないのに」
「そんなー ともかく約束は果たしたからわしは課長だぞ」
「それに部屋に米俵を積んでもらおう。ゆっくり
したいんだ」
「それに毎日お茶と甘いものをな供えてちょうだい」
「いいだろう。運び込むよ。ふーん福の神ねー?」
村の年寄りは目に見えて元気になっていった。
この工場には何か不思議なご利益があると
信じ込んだらしい。朝から大勢が供物や花を
持ってやってくる。そのうち工場内に社か祠を建てろと
言い出すかもしれない。
「あんたたち、草刈りや、畑仕事なんか仕事は
いっぱいあるはずだがな」
聞こえないのか勝手にお茶を入れて飲んでいる。
「はっきり言って迷惑なんだ」
「自治会長!何のために公民館を建ててやった
と思う。年寄はそこで踊りやカラオケをしてれば
いいじゃないか」
「それでね・・」この自治会長はどうにもならない。
「何だい、もう無理は聞かないぞ!」
「村の住人は皆年齢が高いんだ」
「だから身体の不具合は治してやっただろう」
「ここんところせっかく苦労して育てた作物を猿や
鹿、いのししに荒らされてな〜」自治会長は手ぬぐい
を取り出し涙をふくしぐさをする。
「ネットをしても効き目がないんじゃ」
「どうにもならんぞ、そんな目でみても」
「まあ、まあ、そんなことは織り込み済だ」 とAが言う。
「どうするつもりだ」
「この村の住民から周囲の山を買い取るつもりだ」
「はーん?」
「何でそんな事をするんだ」皆がAに尋ねた。
「前の世界でもやった事があるんだがね」
「はあー?」
「これが面白いんだよ」
「俺たちは今のままでいいよ」
「そうも言えなくなってきたんだ」Aの言うことはさっぱりだ。
「イケ、お前こいつの頭の中を探れ」
「やってるんですがサッパリです。やはり人間じゃないと」
「ロボットだからか?。じゃあゴエモン、お前ならどうだ」
「おおよその事は分かります。何か中国がコマンドを
どうとかこうとか」
「そうだ、君なかなかやるな!中国が我々の事を
嗅ぎつけたらしい」Aが嬉しそうに言う。
「そしてここにコマンドを送り込むらしい」
「何もないけどな、ここには」
「南沙諸島の基地を潰された復讐かもな」
「A、お前のせいだぞ!」
「私はそんな事が楽しいんだ」とAは平気な顔だ。
「コマンドといえば兵隊だろう。恐いじゃないか」
「恐れることはないよ。君たちの能力を信じろ」
数日が経った。朝起きると村を囲む山々が消えている。
山はスパッと切り取られ、だだっ広い平地になっていた。
Aのやつやったな!どこまで凄い能力を持っているんだ?。
我々は口をあんぐり開けたままだった。
しかし、これからどうなるんだろう。
「さあやるぞ、楽しみだな、ウシウヒ!」
Aだけが興奮している。
夜になり山間の地は静まりかえっている。
村民を巻き込まないように、我々は移動した。平地の地下深くに
造られた作戦室にである。そのモニター群には真っ暗闇の中を
蠢く影が写っている。
「ケン、こいつらを全員ポイントしろ」 Aが偉そうに言う。
「ちょっとちょっと、そうした指示はわしの役だぞ!」
「ケンです、全員をマークしました。すでにヘイタイと
リンク済みです」
「上等、上等、相手が攻撃してきたら面倒だから早いとこ
殲滅しよう」
コマンドたちには今回の様な作戦は子供の腕をひねるような
ものだ。たかが怪しげな民間人である。コマンド達は進撃を
始めたが、位置情報によるとたしかここは山やら谷が入り組んだ
所ときいていた。しかし前方は広大な土地が広がっている
だけだ。どうしたことか?隊長は頭をひねった。まあいい
早くこんな作戦は済ませて帰ろう・・・そう思ったとき
全員がボッと火を噴いた。何だこれは・・と考える間もなく
コマンド達は壊滅した。
「もう終わったのか・・残念だ」Aがぼやいた。

警察には何か起こったようだと届をすませておいたが、
やって来た駐在所のおまわりは辺り一面に転がっている
ものを発見して血相を変えて帰って行ったらしい。
何せ迷彩服を着た兵隊が黒焦げになっているのだから。
やってきた県警も手に負える事件ではなかったらしい。
国家安全局の報告でどうやら中国の兵隊らしい事が
判明したが政府は警戒して手を出してこなかった。
ある日政府からの特使と称する小役人を派遣してきた。
「いったいあなた方は何者で何をしているのですか?」
「我々は普通の村民です。発電シートの製造をしてますが
何か問題でも?税金もちゃんと納めているし」
税金と聞いて急に役人は居丈高な口調になった。
「正直に話さんと機動隊や自衛隊を寄越すぞ!」
「どうぞ、どうぞ、しかし警察も自衛隊も善良な国民を
守るためにあるんでは?」
「うるさい、やかましい、今に見ていろ!」と毒づいて
帰って行った。
「おい、あのまま返してよかったのか?洗脳したほうが
良かったんじゃないか?自衛隊・・とか言ってたぞ」
「テレビ局は来ないのか。これだけ活躍したのに」
「馬鹿、俺たちはお尋ね者だぞ」
バタバタというでかい音がしたと思って見上げると
チヌークが2機飛んできた。どうやら今度は自衛隊らしい。
台地の上空にくると高度を下げはじめたと思うや
次々と隊員が降下してくる。おー日本の自衛隊もやるなー。
我々は手を叩いてその様子を見ていた。
「おい、あいつら銃を持っているぞ、大丈夫か?」
「しかし自衛隊とやりあうわけにはいかんなー」
地面に降りるや散開し辺りを窺いながら慎重に進んでくる。
「センセイ、ここにバリアをめぐらせろ」
実戦経験が無いのか、我々を見つけると早くも発砲
してきた。海外に出ると交戦規定とやらで遠慮するくせに
ふざけた奴らだ。
「ちょっと脅かしてやれ」と私はマンガに伝えた。
マンガは得意の震動波を彼らに送った。
すると地面が強烈に上下した。隊員達は転げまわっている。
ついに白旗をあげ何か叫んでいる。
「弱虫だな、もう降参か、面白くないな」
「昔の軍隊と比べてはいかんよ、奴らはお役人だ」
「仕方ない、ワシが話そう」
「あー君たち、ご苦労さん。ところでワシらに何か用かな?」
「てっ、抵抗をやめろ!」
「あんたら、白旗をあげたのを忘れたのか?」
「ワシらは何もせんよ。普通の村民だ。もう物騒な銃を
降ろしたらどうだね」
「お前、いや君たちは何者で何をしている!」
「困った人たちだな。帰って政府のお偉方に近々おじゃま
すると伝えなさい」
イケが帰るように思念を送ると兵隊たちは踵をかえし
チヌークで帰って行った。
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