それからどうするPart32

それからどうするPart33

それからどうするPart34

それからどうするPart35

Part17-25
Part32-36
我々はのんびりとすごしている。殆どが元ホームレス
だから食うことに支障が無ければ好き好んで仕事など
やるはずがない。これは極めて正常な生き方である。
だが、中にはゴエモンの様な奴もいる。
彼の仕事は攻める?ばかりではなかった。
防御にも力を注いでいる。
まず個人のサーバーを立ち上げていた。それは
我々に関する情報を自分の管理外のサーバーに
置くことは極めて小さいがリスクがあると考えたからだ。
それに自分の開発したOSを使って仮想化技術を
発展させたいという考えもある。
勿論、金の洗浄の際は幾つもの無料のサーバーを
経由して最終的には彼の開発したサーバーに
戻ってくる。
そこに外部からのぞき込もうとしても奇想天外の
セキュリティが何重にも網のごとく施されており
侵入しょうとすればズタズタに切り裂かれてしまう。
いわば外部に出力する際はスムーズに、コンタクトを
取ろうとすれば制限される逆止弁構造である。
今、最も留意しなければならない事はアナログな
侵入である。我日本国はスパイ天国であり、密かに
或いは大胆に内閣調査室以外にも各国の諜報
機関が街を巡回し飛び回る電波や信号から立ち話
まで、聞き耳をたてている。
ようやく国会でも共謀罪の法案化が進められて
いるものの、肝心のスパイ防止法成立の方は
手つかずのままである。そのせいで各国はやりたい
放題で金や様々な便宜を供与して下部組織として
働かせている。
表に出ないのは発表すると大騒ぎになるからで
C国やK国から金を提供されているメディアは
その様な記事や放送は全然しない。
マイナンバーは単に税の徴収の為だけではない。
さて、新しい住居にもまず駐在所の警官がやって
きた。抄子とイケが応対するがいい男と美女が
いきなり現れて驚いたようだ。
従業員の姓名や住所は・・と問いまくりお上の
権限をさり気なく誇示している。この手の人間には
絶対逆らわず適当な返事をして追い返すにかぎる。
会社名、業種を簡単に説明すると満足して帰って
行った。
次に自治会長がやってきた。先のポリさんとは
リンクしているのか。これも丁重な対応でお茶を
出したりすると、
「従業員の方は社員寮におすまいですか?」と
何も言ってないのに聞いてくる。ふむやはりな。
「よくご存知ですね」 「いや、ごにょごにょ」
「会社はご覧の通り中小企業ですが、地域のお役に
金銭面での協力はわずかですが致すつもりです」
「社員に自治会に入れという事ならそれは個人の
考え次第ですから、一応意思を聞いておきましょう」
「ゴミ処理はどうされていますか?」 と搦め手から
触手をのばしてきた。
「わが社はゴミを出しません。完全なリサイクルです」
「水道も引いておりません。つまり井戸を使いますが
これも浄化して再使用しています。ですから下水も
必要ありません」
「街灯はどうされていますか」 自治会はなぜか
街灯の心配ばかりするな。
「電気も引いていません。完全な自家発電です」
「つまり太陽光発電で会社の証明、街灯の電気を
賄っております」
「でもホイラーを使えば煙はでるでしょう」となかなか
この会長は中々しぶとい。
「公害を心配されているならご無用です。完全燃焼の
ボイラーを使うこともありますが発生する煙も再利用
します。つまり完全なリサイクルです」
「まだそれらの点でご心配なら環境調査をやって
下さい。自信があるから申し上げています」 
「はあ、はあ」
「そういうことで、何か地域にご迷惑をかける事が
あれば何時でもおっしゃってくださいね」
「うー〜 進歩的な会社ですなー」
「恐れ入ります」
聞き耳を立てていた連中は大笑いしている。
「喜んでばかりいられないぞ。社長あんたは
後をつけられていたぞ!」
「誰に?」  「ワンちゃんだよ・・アンテナを付けた」
「そうか、知らなかった。何者だろう?」
「その手の筋しか無いだろう」
「コンビニで昼飯を買ってきたんだが油断ならんな」
「その連中は何かを感じて探っているんだ」
我々の新住居はS県、M町に属しているが
完全な過疎地である。
そのせいで周辺の住人の年齢は高い。勿論
畑以外にはコンビニが1軒あるだけだ。この工場が
目立つのはしょうがない。
だから頻繁に例の自治会長がやって来る。
お茶をのみに来たと平然と公言するからかなりの狸だ。
話題は地域振興である。対応はイケと抄子がやる。
「そうですね、それはご心配でしょう、お気持ちだけは
分かります」 等と決して踏み込まない。
イケは会長の頭の中を捜査して目的を知っているから
なおさらだ」
「やって欲しいと言われてもそれは行政の仕事では?」
「・・・・・」
「私共は中小企業、それも零細な企業です」
「・・・・・」
「貴方は自治会長として何か実績をあげなくてはと考え
ていますね」
「・・・・・」
「祭りの花代なら少し多めに出しますよ」
「・・・・・」 
「仕方ありません、一回こっきりですよ」
「そ、それは何だね!」 やっと返事をした。
イケは粘る自治会長が哀れに思った。
「村、いや町の公民館が古くなっていますね。それを
新築しましょう」 あぶく銭だ誰も反対しないだろう。
「本当かね! いや本当ですか・・・有難い」
「但し、この様なことは一回きりですよ。建築後も我々は
その運営に一切関わりません。約束しますか」
「する、する、いやお約束します」 これで当分自治会長
は大きな顔ができるはずだ。
「それではこちらで標準的な公民館を考えますから
使用地を空けてください」 
「これは地鎮祭の費用です」 サービス満点だ。
会長は公民館の地鎮祭の様子を想像している。
そして凄い勢いで事務所を出て行った。
という次第でやがて公民館の地鎮祭が行われたが、
私たちは参加しなかった。
我々落ちこぼれ元ホームレス達は勧善懲悪などと崇高な
理念のもとに活動しているのではない。
確かに金に汚い連中からそれを巻き上げる事はあるが、
その動機はあくまで面白いからという幼稚な想いからだ。
こちらに悪気はなくともやられた方はそう考えない。
各国は必死で犯人を捜し始めた。その動員数は半端では
なかった。田舎の町にもそれらしい人間が見かけるように
なった。教祖、いや社長が付け回されたのもどこか不自然
な感じがしたからだろう。
工場にやって来たのはその一人であった。
「税務署の方から来ました」 と身分証を呈示し以前きた
連中と同じ質問をしてくる。税務署の人事のデーター
ベースを調べるとやはり該当人物は居なかった。
早速そいつの脳内を探るとある人物に金で雇われて
いる事が分かった。その人物はCといい全ての報告や
指示をメールで行うらしい。
そのアドレスから組織を割り出したがそれは中国国家
安全部MSSであった。どうやら例のタックスヘイブン
絡みで恐怖に陥っているらしい。
しかし我々はすぐに手は出さなかった。日本にある中国の
資本下にある企業は国家の情報機関と密接に関係して
いる。先端技術を盗む為だが、日本はそれでかなり
ひどい目に合っている。新幹線、造船、製鉄等の製造
技術をはじめ盗まれ放題だ。それに日本が一番恐れて
いるのは中国のサイバー部隊である。彼らの技術は
高く、どれだけの情報を盗まれたか不明である。
中国は米国と同様に何万人ものサイバー部隊がいる。
ゴエモンはテツの協力で、侵入チャンネルを特定し
そのハッカー集団本部に易々と逆侵入した。
時限ウイルス爆弾を仕掛けさっと引き上げた。
更にテツの誘導によってマンガが地震を徐々に誘発
させていくのと同期したウイルス爆弾は部隊の電算機を
徹底的に破壊した。マンガは地震誘発のトリガーを外し
ハッカー本部は徹底的にぶっ壊れた。
中国の放送局は何も発表しない。どうやらバレなかった
らしい。

それからどうするPart36

社員寮では世間の大騒動を知らぬげに句会を
始めている。全然似合わないが皆すまし顔だ。
抄子が顔を出しているからだろう。
「ホームレス金を持ってもすること無し」
「捨ててあるダンボールを見る悲しさよ」
「古新聞あつめて重きリヤカーかな」
「外出れば我らをつけるアホがおり」
「調査員あれから何処に行ったやら」
「お前らどうにもならんな。真面目にやれ!」
「わしの句を聞いて勉強しろ」
「蝋梅を見上げて寂しき河川敷」
「冬寒やろうばいの強い意志」
「さすが教祖だ、社長だ!」
「それでは人事部長やってみなさい」
「冬鴨が河に来たりて笛をふく」
「うーん、横溝正史の本のタイトルに似て居るな」
「鴨の鳴き声はぴーぴーと笛みたいだからな」
「前よりはましだな」
「次は企画部長やってみなさい・・・」

それからどうするPart37

のんびりと過ごす我々も色々な手段で外の様子を
窺っていた。MCCへの攻撃の様子はNetにより
全世界に拡散したようで、どの国がそれをやったの
か様々な憶測が取り沙汰された。
それはタックスヘイブンの情報漏洩はMCCがやった
ことで、報復のためにCIAが中国国家安全部を攻撃
したというのだ。中国は躍起になって否定しているが
誰も信じない。中国の富裕層は気が狂ったように
大騒ぎをしているし、大規模なデモが連日行われて
いる。これ以上続けば共産党だって安全ではない。
軍隊を動員してデモの鎮静化をすすめている。
ロシアは米国が怪しいと伝えている。その理由は
過去にも米国が日本のインフラに対して悪意のある
ソフトウエアを仕組んだと例のスノーデン氏が告白して
いるからだ。
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